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いっぷくこうさくしょ

つくること、くらすこと。


by ippuku_kousaku

その草花は、ハハコグサ?

このところ、気になっている草花があります。
チチコグサと、ハハコグサ。

旅先で見つけて以来、身の回りにも生えていないかと、すっと探していたのです。

その昔、草餅の材料に使われていたというその植物を、
自分の庭でも育てて増やし、いにしえの草餅を作りたい。

それが、あっけないくらいすぐに、見つかりました。

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これはたぶん、ハハコグサ。
よく通る道端や公園、畑のあぜ道…、気がつくとあちこちに生えていました。

今まで何で気がつかなかったんだろう。
きっと、見ているようで、「見えて」いなかったんだと思います。



ハハコグサやチチコグサに興味を持つようになったのは、この春、十津川村を訪ねたときに見かけてから。
あぜ道や広場に生える頼りなげな植物が、その昔、草餅づくりに使われていたといいます。

ハハコグサという名は耳にしたことがありましたが、それとよく似た「チチコグサ」という草花があることはまったく知りませんでした。そして、その葉や茎を搗き込んで草餅を作っていたことも。

是非一度作ってみたい…。
私の中の「作ってみたいムシ」が目を覚まし、材料となるチチコグサ探しが始まりました。

そのとき見つけた植物も、本当のところ、どちらだったんだろうか。花が黄色く、葉や茎が白い産毛で覆われていたので、今思うとあれは、ハハコグサだったのかも知れません。

ハハコグサとチチコグサの見分け方を確かめたくて、ネット検索してみました。

キーワードを入力すると、瞬時に情報が集まります。それが便利なようでかえってやっかいに感じるのは私だけでしょうか。
情報が多すぎること、情報の精度がまちまちなので、信憑性を見極めなければなりません。
それに、集まった情報がすべての情報というわけではないだろうし、真実とは限らないとも思うのです。

図書館にも行くべきだったかも知れませんね。



色々読み比べて、私なりにまとめてみました。

まず、草餅に使われていたのは、チチコグサではなく、ハハコグサだったようです。

次に両者の見分け方
どちらもキク科の植物で、ハハコグサは在来種ですが、チチコグサは古い昔に入ってきた帰化植物。
 花の色や形、茎の生え方、根の伸び方、葉っぱの形や色、産毛の有無などで見分けます。
        
 ハハコグサの花は黄色く、葉っぱの形はへら状で、白い産毛が生えています。その他の特徴も照らし合わせれば、チチコグサと区別することは比較的容易にできそう。
 一方チチコグサ同士を区別するとなると、やっかいです。チチコグサは日本に古くからある在来種ですが、それ以降、特に戦後になってアメリカなどから伝わり帰化し  た仲間が数種類あり、それがとてもよく似ているため、見分けるのはややこしそうなのです。

 参考 http://www2.kobe-c.ed.jp/shimin/hirose/sprgrass/page0111.html
    「野に咲く花便利帳」(電子版) 主婦の友社

最後に、草餅の作り方
 ハハコグサの葉っぱや茎の白い産毛がつなぎの役目を果たしていたそうです。(この点はヨモギとも共通しています)
 三月の節句に作る草餅に、ハハコグサを搗き混ぜたとされ、奈良時代の頃、中国から習わしが伝わったという説もあります。

 平安時代(800年代)の文献にも、3月にハハコグサ(ホウコグサ)を使った草餅(米餅)を作るという記述があります。
 発色の良いヨモギを使うようになったのは、ずっと後のこと(一説によると、江戸時代)です。
 今では草餅と言えばヨモギが主流、ハハコグサが草餅の材料だったことを知る人はわずかになりました。でも、どんなものだったのか、興味がわきませんか?


作り方は、ヨモギ団子のようだったのではないかと想像します。
米粉をこねて蒸し、茹でて刻んだハハコグサを加えて搗き混み、丸めます。
団子自体に甘みは加えず、表面に蜜(蜂蜜、それとも黒蜜?)をたらして粉(きなこ?)をまぶします。

本当にそうなのかは、昔の人に聞いてみないと分かりません。古い文献に書いてあるのかも知れませんが、そこまで調べ切れていませんので、あくまでも私の空想です。
どんなできばえになるのかは、自分で試してみるしかありません。


昨日、借りている畑の片隅に、チチコグサらしき草花を見つけました。
その草花は、ハハコグサ?_c0202865_18500748.jpg

その草花は、ハハコグサ?_c0202865_18500839.jpg

でも、葉っぱの形が少し違うような…。
よく似た外来種がいくつもあるので、これから調べてみますが、チチコグサではないかも知れません。

調べれば調べるほど迷宮の奥に迷い込んでしまったみたい。
昔の草餅を作りたいという思いから始まったハハコグサ(チチコグサ)探しは今、足踏み状態です。


ハハコグサという呼び名の由来に関しても、数多くの説があって、これまたやっかい。

でも分かったことがあります。
ちっぽけに思える草花でも、古い文献をあたって丹念に調べている人がいるのだということ。
これは、ネット検索などではなく、本物の文献を調べるという,果てしなく時間と手間がかかる作業だと思います。調べた内容の「重み」が違うような気がしました。


by ippuku_kousaku | 2017-06-29 18:45 | 日々のこと